0円店舗再生 第18回~指宿フェニックスホテル~尊敬すべき事業者たち ホテル、旅館、温泉施設こそ空間創造にこだわる
- 2024年11月12日
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更新日:3月17日
指宿フェニックスホテル(鹿児島県指宿市十二町 代表 野田善嗣さん)の久永支配人と出会ったのが、指宿駅前の指宿情報プラザだった(現在は閉所)。指宿情報プラザは堀経子さんが運営していて指宿の案内拠点として、ミニFM放送や特産品の販売、ストリートピアノなど多様な活動をされていた。ここで堀さんは久永支配人とつないでくれた。

指宿フェニックスホテルは指宿を代表する大型ホテル。海に近いロケーションは素晴らしい。一方で大型ホテルならではの悩みもある。継続的な改修投資が常にあること。しかし投資は収益があってこそ。
指宿全体の課題として、かつて新婚旅行先として有名だったかつての賑わいはいま無い。次第に投資スピードが遅くなり、どうしても宿泊価格を下げて部屋を埋めざるを得ない。そこにあらたな問題があると相談を受けた。
同ホテルは指宿の数あるホテルの中でも最大面積を誇る売店がある。その売店が売上不振だという。聞くと広い売場に四社の問屋に売り場を分割し運営を任せているという。その一社が同売店からの撤退を申し出たという。
問屋ごとに売場が分かれていると、レジが別々にあり、同じような商品が問屋ごとに分かれているなどお客さんには買いにくい売り場となる。久永支配人と何度も打ち合わせを重ね自社運営にできないか相談した。
そして同ホテルは自社運営に踏み切った。これで必ずお客さんに満足が提供できる売場ができる。
売場をゾーン分けした。フロント近くはチェックアウト時に素早く買える飲み物や菓子類。フロントからの動線は箱ものの土産物。奥の売場はゆっくり選べる工芸品や衣服。そして季節トレンドや新規商品を展示する非定番コーナーをつくった。
そしてレジ前の通路を4メートル確保した。大型ホテルでは観光バスで一気に来客がある。そこは売上獲得のチャンスであるがスピードが必要となる。レジに並ぶ列で買い物が邪魔されるとお客さんの購買意欲も失せてしまう。レジ列が売場の回遊性を妨げないようにした。これは売上獲得に大きな効果があった。
お客さんが多いときにこそ多くの売上が生まれる。他人の購買がさらに購買意欲を高める。あの人が買ったものが気になる。自分も買おうとなる。売れるときにこそたくさん売るのが重要である。
カテゴリーごとのゾーニング案
A ついで買い ショートショッピング、これはフロント近く
エレベーターにも近くフロントや部屋との最短ゾーン
B イベント 季節商品や限定品
隣が箱物菓子なので、売り場全体を平面的にさせない効果もある
C 売れ筋商品 箱もの土産品などメイン商品
ロビーの椅子に座って買物を再考できる(客単価増)場所でもある
D 売れ筋商品 家族や子供向けの商品、他のお客さんに気兼ねなく見られる
箱物菓子を見ながら、子どもから目を離しても安心できるように奥まっている
E 高額品、ファッション レジに近く説明など接客もしやすい
ここに宅急便カウンターも配置、焼酎の全国配送など大型重量品の売場とも近い

売場のレイアウト案
レジを壁面に一か所に集約 裏にはバックヤードがある
レジ前の会計通路を4メートルあけた。これは一人当たりの行動円を50センチとして、8名が通れる。想定したのは、列に4名(一組4名も有り得るため)が並んでも、もう4名がその後ろの売場を通過できる幅である。

成果事例 鹿児島県よろず支援拠点より

ふるさとかごしま
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この指宿フェニックスホテルによって、中小企業支援にはこうした売場改善支援が必要であり、また高い効果が生まれることを実感した。
この支援手法に気づかせてもらったのは、堀さんと久永支配人のおかげ。ここへ導いてくれたお二人にはとても感謝している。
この場所から、0円店舗再生はスタートした。
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