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0円店舗再生 第21回~尊敬すべき事業者たち ファッション店ではライフスタイルへの提案が必要である

更新日:2024年12月16日

5-2事例: シューズトリエ

シューズトリエ(秋田市中通 代表 斎藤登昇夫さん)は、秋田駅に直結するファッションビルのテナントとして営業していた。コロナ渦で外出する機会が減少しそれにより靴の販売も減少していた。


店舗活性化の課題として、つい買いたくなる店舗づくりと顧客を呼ぶ販促が必要だった。


店主の斎藤さんは、靴の業界一筋50年。いつかは駅のファッションビル内に出店したいと思い続けていたが、念願かなって駅ビルテナントの一等地へと出店して、営業を続けてきた。

 

しかし、そこへコロナ。

靴はもともと外出のための道具。外出しなくなると靴の売れ行きも厳しくなる。コロナが収まりつつある今必要なことは、女性にもう一回靴を履いて楽しく外出してほしい!というただ一つの斎藤さんの願いだった。

 

ファッションビルのテナントとしてあるべき姿は、靴の一つ一つが輝いて見えること。売上が厳しくなると品揃えを増やして対策しようとする。陳列数が増えると安っぽく見える。そのジレンマでもあった。

売場を質の高いもの、発見や想像が生まれる変化陳列。そして靴を売るのではなく足に注目させるためのイメージDM。これらを並行して実践した。

 

売場ビフォア上とアフター下


売場の改装のポイントは3つ

 

・靴の向きをそれぞれ別の方向にすること

・靴一つの空間をたっぷりもって陳列すること

・靴一つのそれぞれ並べ方を変えること

 

 

同時にDMデザインを考えた。

スタッフさんの足をモデルとして撮影させていただき、この写真にメッセージを入れてDMとした。

「裸足を楽しもう!」

斎藤さんには、セール中とか割引〇%引きとかの表現はあまり効果がないのでは?と逆提案した。

それはコロナでライフスタイルは大きく変わった。欲しいと思っていたものは、もしかしたら不要では?とお客さんが自ら問いかける。お客さんの購買意識は変わった。買い物により慎重になった。

 

そのため、靴ではなく、むしろ靴が要らないかのようなメッセージが効果的なのでは?と考えた。

もし外出できなければ靴は買わない。靴はなくても足は必ずある。足に注目してもらえば靴が必要になると考えた。

この読みが当たって、このDMは驚くべき集客につながった。斎藤さんにもとても感謝された。


しかし秋田県の商業は厳しい状態にある。駅のファッションビルが業態を変えることになった。ファッションを捨て日常品を扱うスーパーマーケットがメインになる。

 

斎藤さんは苦渋の決断をして店を閉めるとともに引退を決意した。この奮闘を良き思い出として、今は静かな余生を過ごされている。

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