top of page
執筆者の写真

0円店舗再生 第26回~尊敬すべき事業者たち 仏壇屋では正面に仏壇を見せない

更新日:2024年12月16日

10―2事例: 杉浦仏壇店

 

杉浦仏壇店(愛知県刈谷市新栄町 代表 杉浦伸司さん)は、令和5年度の愛知県商店街魅力ある個店創出支援事業によって、店舗改善が実現した店舗。


店主の杉浦さんは、かりやセントラル商店街の理事長でもあり、商店街をリードする立場からも、当初からチャレンジすることを念頭に置いていた。

同店は伝統工芸である三河仏壇の製造修理から販売まで一貫して行っている。店舗の裏には工場もあり、この店はいわばショールームでもある。


刈谷商工会議所の裏から徒歩0分の場所でもあり、改装後には関係者も多く見学に来ていただいた。


仏壇は核家族化や住居の洋風化によって、大きく重厚なものから小さくシンプルなものへ嗜好性が大きく変わっている。かつ耐久消費財でもあり、同店でも修理修繕には卓越した技術を有している。こうした背景もある一方で、お香やお供えなどは個性的な商品も開発され、業界では仏壇に依存しない需要の獲得も進められている。

 

ビフォア外観


仏壇業界は家具インテリア業界と類似している。家具は高額品ほど長く使える。一度購買すれば次の購買には時間がかかる。そのため来店頻度も下がる。


家具インテリア業界は、ほぼニトリの独り勝ちである。生活消耗品をライフスタイル提案へと組み込んで、購買頻度の高くない家具を販売するよりも購買頻度の高い商品を集客の中心に位置づける消費者嗜好型はすっかり定着した。

家具を買わなくてもとりあえずニトリへ行くのである。

上は改装前図面(店舗入口は図面右側)

 


ビフォア店舗入り口   ビフォアガラス面店内      

 

今回の改装におけるポイントは、仏壇の独特の重厚感を入口から感じさせないようしたいこと、入口から店の期待感を高めて入店しやすくかつ店内の回遊性を高めること、仏壇がゆっくりと見れる広いスペースをつくることの三点である。

 

アフター外観

そのため、入口にあったレジを店内中央へ移動。店内奥にある仏壇と、店内手前にある関連品の中間あたりの場所へと移動させた。


外から見るガラス面を活かせるように、ガラス面の裏には何も置かず、ガラス下部のみ陳列を残し、さらに店内動線を見直した。


ガラス面にはカッティングシートをデザインして、仏壇の圧迫感を光のイメージで遮った。

 

仏壇前のスペースは通路を広げてもらった。

上は改装後図面(店舗入口は図面右側)

 

アフター店舗入り口   アフターガラス面店内   

改装準備段階において、杉浦さんは什器にキャスターをつけて移動しやすくしておくなど、改装前に万全な事前準備をしていただいた。我々はその手際の良さに驚かされた。

こうして十分に自分たちでもできる技術と環境があり、そこにちょっとしたアイデアさえあれば、実現できるのだとあらためてお店に潜在している力を認識した。

 

改装後、早速に奥様より若い男性二人組がルームインセンスとしてお香を探しに来られて買っていかれたとうれしい言葉をいただいた。何より奥様がとても嬉しそうだった。

 

事業者の皆さんは杉浦さんのように自分でもできる。自分のお店なのだから。どのお店でも自ら取り組める。ただし皆さんきっかけが必要なだけ。きっかけがないからずっと変われずにいる。

 

我々もそのきっかけの重要さにあらためて気づかされた。

 

本事業は、愛知県商店街魅力ある個店創出支援事業によって実施された。

愛知県職員も、一緒になって汗をかいて、掃除や陳列補助に協力していただいた。


商店街の事業者さんは変わるべきである、そしてみんな実は変わりたいのである。

そして地域はみんなで応援したい。一緒に取り組むことに地域活性化の意義はある。

 



 

 

 

 

Comments


bottom of page