17-3事例: ドレスリゾートこわくび
強首ホテル(秋田県大仙市強首 代表 伊藤竜寛さん)は、長年にわたり地元から愛されてきた温泉宿泊施設。昭和の時代は企業や団体の宴会を宿泊で行われることが多く、大人数の宴会場を有し、こうした地元ニーズに応えてきた。
宿泊つきの宴会は時代の変化によって徐々になくなってきた。次に大きな宴会場を活用できたのが部活合宿での利用だった。山あいの立地と広い敷地は、音楽やスポーツの声を出すが合宿にも適していた。一方で客単価は低くなり、使われる期間も夏休みなど長期休暇に限られ、その他の日程は個人客や長期の工事業者など限定されていた。
古くに同ホテルに泊まられたお客さんが懐かしく訪れて来られることもあった。以前よりお年を召されご夫婦でお泊りになるお客さんをとても大切にされていた。ここには約千着ものドレスがしまってあり、お客さんに試着してもらい写真を撮ってあげるととてもお喜びになったようだ。
しかし宴会のような稼げるビジネスではなく、経年で施設も劣化する。秋田の冬は寒く光熱費も高い。経営は厳しくなっていく一方だった。そのうちに温泉が出なくなった。さら掘削する必要があり莫大な費用がかかる。毎年定期的に来てくれている合宿の予約もある。
我々は宿泊をやめることを提案していた。宿泊させれば料理も必要、一晩中光熱費もかかる。風呂も沸かせば燃料費もかかる。宿泊すればますます赤字になる。
この悩みに踏ん切りがついたのがコロナであった。コロナで予約があった部活動利用の宿泊はすべてキャンセル。ほぼ退路はなくなった。
宿泊施設から日帰りアミューズメント施設へ転換する。我々の提案だった。ドレスは千着ある。現在は物置にしまってある。これを強みとして施設を体験型にする。当初は利用者同士がドレス着用で交流するシーンも考えていた。これもコロナ禍で貸し切り利用となった。
高齢女性がドレスを着たいのはなぜなのか?おかみがお客さんから聞いたという、昔はこんなカラフルなドレスはなかったという言葉。カラードレスはエリザベス女王が初めて着て日本へ広まったらしい。これが昭和42年である。その年より前に成婚された方は白いドレスしか着られなかった。高齢女性が喜ぶ理由が分かった。
しかし高齢女性だけを狙っても限りがある。からドレス初体験という点では未婚女性も同じくドレス初体験といえる。
あらたに、ドレスリゾートこわくびと名称して、あらたなチャレンジが始まった。
大広間に千着のドレスを飾りましょう、できる限りぎっしりと。100畳あっても全部は並ばなかった。ドレス迷宮の森と名づけた。廊下には撮影のための背景パネルを設置。かつて宴会の二次会で使用していたカラオケルームをキッズルームへ。レトロなロビーは昭和の時代を演出。
館内改装計画
ドレス迷宮の森 館内撮影コーナー
ロビーはレトロ感を高めて演出
和服の部屋も展開した
次第にマスコミなどで取り上げられるようになって、徐々に利用者は増えて、知名度は広がっていった。秋田県女性では知らない人がいないほど有名になった。
そして県外や首都圏からもわざわざドレス体験を目的に来られる若い世代や観光客も増えてきた。全国ネットのテレビでも取り上げられるようになった。
伊藤さんの努力はすさまじかった。撮影場所や背景を増やし、インスタグラムを毎日更新し続けている。
ドレスリゾートこわくびは進化し続けている。
地元ユーチューバーさんによる紹介
Bình luận