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0円店舗再生 第54回~尊敬すべき事業者たち 書店、文具店ではクロスMDが効果的

7-4事例: 押村商会


押村商会(愛知県名古屋市南区内田橋 代表 押村宣広さん)は、内田橋商店街にある老舗の文具店。文具店の店売上が年々厳しくなり、オフィスや施設への外販が事業の中心となっていた。一般消費者向けの店舗としては、ほぼ活かされてはいなかった。

押村さんは内田橋商店街の活性化を目指して、日々尽力されていた。同商店街のイベント規模は大きく発展し、新規出店者も増えている。同地域で生まれ育った押村さんは地域を何とか活かしたいと奮闘されていた。


押村さんと引き合わせていただいたのが、名古屋商工会議所(主席経営指導員 神原茂さん)だった。神原さんは押村さんやほかのメンバーを巻き込み、商店街の活性化のために尽力されていた。内田橋商店街の活性化を見ると、確かにイベントは大成功で、域外からも集客できている。またその活況を目にして、あらたにここで事業をやりたいと考える人も次々に生まれている。


我々が懸念したのは、イベントが終わればまたさびれた商店街に戻っていくのではないかということ。実際にイベントでは商店街外からキッチンカーが集まり、子ども向けのイベントでその親御さんもたくさん集まってくる。みなこの場所を楽しんでいる。その一方で今までここで商売をされていた事業者さんは、同じようにイベントを楽しんでおられる。イベントは何のためにあるのか?地域に人が動き続ける場所をつくるため。

 

一期      改装前ビフォア

この状態はいわゆる売り出しやセールと似ている。我々は小売業にいて、売り出しのむなしさを理解している。売り出しやセールが盛況であればあるほど、それが終わった翌日には人が来なくなる。しかし小売業ではそれがやめられない、その時のにぎやかさが麻薬的であるから。


さて、商店街にもこうしたイベントをきっかけとして街や既存のお店を知ってもらい、何気ない平日のひとときに一人でも多くの人が訪れてほしいと願う。

名古屋商工会議所にて神原さんと押村さんほかのメンバーに向けて0円店舗再生のセミナーをさせていただいた。押村さんは商店街をリードするのは、自分の店を捨てて奮闘することではなく、自分の店が地域をリードしお客さんを集める存在になることだと理解いただき、改装は進んだ。

二期にわたって改装を行った。

 

一期改装アフター

一期には、店として近代化を進めること。これは配達のための倉庫や入出荷の場所として利用されていた店舗を、一般消費者が来店できる近代的な店舗へと作り替えること。文具店の改装はアイテムと商品の細かさから大変ではある。

 

しかしそれよりも大変だったのが、床に貼っているカーペットを剥がすことだった。コンクリート床に接着剤で貼ったカーペット、これはだんだん接着が弱くなり、浮きが出てくる。さらにカーペットそのものの劣化やひび割れもあり、浮き上がってひび割れた個所ではつまずくような危険性も生まれていた。いっそ全部剥がしましょうと押村さんと合意して店舗フロア全体から撤去した。カーペットを剥がすには、什器を浮かせなくてならず、店舗にいったん保管するスペースもないため、什器移動しながら順次カーペットを剝がしていった。コンクリートむき出しの床はむしろカーペット貼りよりも予想以上にきれいで、これは我々としてもいい経験値となった。

 

一期は、回遊性高めるとともに、商品の整理、ディスプレイの手直し、ショーウインドウの活用など、基本的な店舗のあり方に向けて手直しを進めていった。

 

二期は、個性化の段階であった。個人店は大型店と同じことをしてもそもそも規模で不利である。お客さんも大型店と同じ期待を持っているわけではない。個人店では店主の個性が、お客さんを惹きつけ地域を強くし結果商圏を拡大させる。


先代が経営されてきた文具店から、あらたなスペースを加え、サービス性を高めた店舗への進化である。成熟した世の中では商品からサービスへと需要が変化している。独創的なサービス性を高め、地域での存在感を高めていくことが求められている。二期はこうした進化を進め商圏を広域化させている。商店街の商店とは地元客のものではない。すでに地元客は見放されている商店、広く顧客を集めることで、はじめて地元で再評価される。商店街の活性化には、小さくきれいにまとめるように店舗を改善することではなく、ダイナミックに店舗を生まれ変わらせることでしか実現しない。


YOUTUBE ビフォアアフターの動画

 

己書の体験サービス、販売を開始

いま押村さんは地域で率先して店を生まれ変わらせようとしている。これこそが商店街の革新である。

外部環境や時代のせいにしないで、自らが率先して店舗の革新に向けて、努力を続ける。

こういう商店が増え続けることが、我々の願いでもあり、商店街の願いでもあるはず。

我々は、商店よ、押村さんに続け!と思う。

 

 

押村さんのインスタグラムより


 


 

 

 

 

 

 

 

 

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