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0円店舗再生 第17回~尊敬すべき事業者たち 道の駅、テーマパークでは地域とエンタメ性で売り込む

更新日:2024年12月16日

17-1事例: 道の駅象潟ねむの丘

道の駅象潟ねむの丘(秋田県にかほ市象潟町)は、東北で最大規模の道の駅。日本海に面していて、土産物や直売所、温泉施設やレストラン、フードコート等を併設している。

この施設が飛躍するための最大の課題は建物の構造部分にあった。


正面入口を入るとすぐに二階へ上がるエスカレーター、その横に一階の売店。吹き抜け部分を支える太い柱。エスカレーターから吹き抜け部分の開放感を見せるように設計された構造が入口を窮屈にしていた。地方ではこうした商業価値に配慮されていない構造により、古くに建設された施設が少なくない。


こうした構造にもかかわらず、売場には木材の屋根をつけた東屋を建てて、そこに会計レジを設置したため、入口付近はお客さんで大渋滞。入口の狭いスペースに、二階へ上がる人、温泉施設に行くため奥のエレベーターへ向かう人、二階の食堂へエスカレーターで向かう人、そこに奥の売場へ抜ける人、レジの会計待ちの人、会計済みで帰る人がぶつかりあい大混雑。一見すると大賑わいの施設に見えるが奥の売り場は閑散という状態だった。現場もどうすればいいかわからなかったのだと思う。


我々はまず動線を整理。レジを奥へ配置、エレベーターへの通路と奥の売場への動線を確保し、売店ゾーンを区切った。

 

下記は改装前の入口エスカレーター回り

 

お店では入口でいろいろPRしようとする。案内パネルや商品POP、装飾品などが狭い空間に埋め尽くされている。こうなるとほとんどの情報は目に入らず、何だか鬱陶しいじゃまな物体に過ぎなくなる。

店舗入口の空間は広いほどお客さんの期待感を高める。入口が狭いと全体的な期待感が薄れて購買意欲も低下する。店のこうした取組の有無で売上も大きく変動する。


商品の内容や品揃えが変わらなくてもお客さんの購買意欲の高低で売上は変動する。ここに気づかない店舗はやはり地方ほど多い。我々が強くさせたいと願う地方の弱さでもある

 

丸一日かけて改装を終え、売店は生まれ変わった。

入口を奥から見た売場。奥にこうした広いスペースをつくることで、入り口の狭さは気にならなくなり、滞留や混雑もなく動線がスムーズに流れるようになった。

 

このスペースの創造によって、吹き抜けのスケール感も生まれて施設価値も向上した。

 

奥の閑散としていた売場も、レジを店内奥へ配置しなおし活性化できた。

もう一つの課題は、売場を運営している業者さんとの場所調整の課題であった。

商品をこの施設へ納品して陳列している卸業の方たち。よく売れる場所とあまり売れない場所が明らかだったため、よく売れる場所は取り合いになる。売れていた場所から売れない場所へ陳列が変更されたら売上に影響する。


我々は売場に売れない場所を作ってはだめだと思っている。その原因は動線が活かされていないせい。

我々が売場全体を活かしそれによって売上全体を向上させるということを理解してもらう必要があった。

そのための業者向け説明会にも時間をかけた。

 


あきた企業活性化センターの記事

 

 

この規模が大きいが複雑な課題が多くあった施設が生まれ変わった。今までは設備や規模しか注目されてこなかったが、東北ナンバーワンの道の駅として評価を受けた。

 

さらにテレビでの取材も入るなど、施設の感性を高めたことが評価につながっている。しかしまだまだ改善の余地はある。


一方で、こうした公益性の高い施設には課題も多い。こうした施設の発展性にもっとも危惧される課題は、管理者が入れ替わり、彼らの思いつき都合で店のあり方やサービスが変更され、顧客志向でなくなっていくことである。


小売りサービスやお客さんの心理やを経験していない管理者は、自分たちの施設のどこがお客さんから評価されているのか理解できてない。

同施設が後戻りしないよう、今回受けた高い評価をもとに、さらにお客さんから学び、高いサービスを還元できるように進化を期待したい。

 


 

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